ビジネスコミュニケーションにおいて頻繁に使用される「うちあわせ」という言葉の表記方法には、いくつかのバリエーションがあります。これは、送り仮名の違いによるもので、具体的には「打ち合わせ」と「打合せ」の2つが主に使用されます。稀に「打合わせ」や「打ち合せ」と表記されることもあります。
この記事では、「うちあわせ」の各表記の違いに加えて、公用文における適切な使い分けを詳しく説明します。これにより、文脈に応じた正確な表記方法を身につけることができます。
「うちあわせ」の一般的な表記は「打ち合わせ」
日本語において「うちあわせ」は様々な文脈で使われる言葉です。辞書を引くと、「うちあわせ」は「打(ち)合(わ)せ」と記されていますが、送り仮名の使い方によって「打合せ」、「打ち合せ」、「打合わせ」、「打ち合わせ」の4種類の表記が可能です。
これらはすべて正しい表記であり、文脈に応じて選ぶことができます。しかし、一般的に文書で用いる際は「打ち合わせ」と表記することが多いです。その理由は、漢字と送り仮名を全て使用することで、読みやすさが増し、誤解を招く可能性が低くなるからです。
「打ち合わせ」という表記が選ばれるのは、読み手にとっての視認性や理解しやすさを優先した結果です。
公用文における「うちあわせ」の適切な表記
公用文における「うちあわせ」の表記については、文化庁の「送り仮名の付け方」に基づくルールが明確にあります。これによると、複合語における送り仮名の付け方は、各漢字が単独で使われた際の送り仮名を基準に決めるとされています。
例として、動詞「うちわせる」の連用形から名詞化された「うちあわせ」は、「打つ」と「合う」が組み合わさった複合の語です。このケースでは、「打ち合わせ」と表記することが推奨されます。
したがって、公用文では「打ち合わせ」が正しい表記とされており、同様の表記は公文書やビジネス文書、さらには法令文やメディア出版物にも適用されることが一般的です。この表記は、読み手に対する視認性や理解の容易さを考慮した結果と言えます。
「打ち合わせ」と「打合せ」の公用文での使用許容範囲
公用文における「うちあわせ」の表記は、文化庁の『送り仮名の付け方』通則6に基づいていますが、送り仮名を省略することも許容されています。
具体的には、「打ち合わせる」の本則形に加えて、「打ち合せる」や「打合せる」といった省略形も許容されています。これは読みやすさや誤解の恐れがない場合に限られます。
例としては、書き抜く(書抜く)、申し込む(申込む)などと同様に、「打ち合わせる」(打ち合せる・打合せる)が挙げられており、これは読みやすさを考慮した場合の省略が許されることを意味します。
さらに、仙台市教育局が提供する『新訂 公用文の書き表し方の基準(資料集)』では、「打ち合わせ」と「打合せ」という表記も許可されています。これは、公用文で広く受け入れられる基準を示しており、公用文書においてはこれらの表記が共に用いられることが認められています。
しかし、「打合わせ」という表記についてはこの文脈では見当たらないため、「打ち合わせ」または「打合せ」の表記が適切とされます。
「打ち合わせ会」か「打合せ会」か
「うちあわせ」という言葉に「会」が付いた形の「うちあわせ会」について考えると、公用文においては内閣訓令第一号(2010年11月30日告示)に基づいてその表記が定められています。
【送り仮名の付け方について】
内閣告示では、送り仮名の付け方に関して、活用のない語で読み間違える恐れがない場合には、送り仮名を省略することが許容されています。このルールに基づき、「打ち合せ」や「打合せ」という表記も認められているのです。実際に「打合せ会」も公用文において許容される表記のひとつとして記載されています。
そのため、原則的には「打ち合わせ会」と書くのが正しいですが、「打ち合せ会」や「打合せ会」と書いても許容されます。ただし、「打合わせ会」のような表記は許容されておらず、公用文でも「打合わせ」は使われません。
なお、法令用語としては「打合せ会」が採用されることが多く、看板などの特殊な場面では「○○調査打合会」のように表記されることもありますが、これはデザインや読みやすさの問題から来ている場合が多いです。
一般的な文章では「打合」や「打合会」のような表記はほとんど使われず、ひらがなや片方だけ漢字にする「うちあわせ」「打ちあわせ」といった表記も基本的に避けるべきです。