新年が訪れると、多くの家庭で「鏡餅(かがみもち)」が飾られます。
しかし、なぜ鏡餅は二層に重ねられ、その上にみかんが置かれるのでしょうか?
子供になぜみかんなのか?聞かれた際に答えることが出来ず、調べてみました。
また、「鏡」という言葉が名前に使用されている理由は何でしょうか?
さらに、鏡餅をいつ食べるのか、その日は「鏡開き」と呼ばれていますが、今年の鏡開きは具体的にどの日に行われるのでしょうか?
これらについて詳しく説明しましょう。
鏡開きの意味と、「鏡」の由来
古代では、鏡は青銅製で円形の形状が一般的でした。
これらの鏡は神聖なものとされ、神事で使用されることがありました。
神話の時代には、天照大御神が孫の瓊瓊杵尊(天皇の先祖とされる)に三種の神器を授けたとされます。この神器には八尺瓊勾玉、草薙の剣(またの名を天叢雲剣)、そして八咫鏡が含まれています。
八咫鏡が模されたものが鏡餅とされています。さらに、「鏡」という漢字は「鑑みる」という意味も持ち、「良い手本や規範を反映して考える」という意味から、この言葉が変化して「かがみもち」になったと言われています。これは、一年の初めに自分の行くべき道を模索する際の手本として鏡餅を用いるという考えが根底にあります。
鏡餅が二段に重ねられる背景
大きな餅と小さな餅を一緒に重ねることにより、「円満な年月を積み重ねる」と「福を積み重ねる」という願いが込められています。
さらに、この二つの餅は、「太陽と月」や「陰と陽」といった自然界の二元性を象徴しているとも考えられています。
なぜ鏡餅にみかんを飾るのか?
鏡餅の頂に置かれるのは一般的に「みかん」ではなく、「橙(だいだい)」です。
橙もみかんもミカン科に属しますが、橙は「香酸柑橘類」に分類され、みかんは別のグループに属しています。例えば、香酸柑橘類にはカボスやユズがあり、みかん類にはポンカンや温州ミカンが含まれます。
橙の果実は、木に長く留まりやすく、時には数年間落ちないこともあります。この特性から、橙は家族の繁栄や長寿を願う縁起物とされています。また、その名前「だいだい」は「代々」という言葉に通じ、鏡餅に橙を飾ることには「家族が代々繁栄するように」という願いが込められています。
今日では、実際には小さなみかんを使うこともありますが、本来の縁起を考えると橙を用いるのが適切です。
鏡開きの由来とその意味
新年に訪れる年神様(としがみさま・毎年新年に各家庭を訪れ、豊かな収穫や幸福をもたらす神様)は、門松を目印にして各家庭を訪問し、鏡餅に宿るとされています。
このため、年神様を迎える期間、通称松の内(新年に門松を設置しておく期間)には、鏡餅を供える習慣があります。
鏡餅には神様が宿るとされ、特別な力があると信じられています。松の内が終わると、この鏡餅をお雑煮やお汁粉にして食べ、家族の健康や無病息災を祈願します。
この風習は「鏡開き」と呼ばれています。
2025年の鏡開き・鏡餅を食べるタイミングは?
鏡開きは毎年日付が変わらず、地域によって日程が異なるのが特徴です。通常、この日に鏡餅を食べる習慣があります。
関東やその他の多くの地域では、松の内(お正月飾りを設置しておく期間)が1月7日までとされているため、1月11日に鏡開きが行われます。一方、関西では松の内を1月15日までとし、鏡開きは1月15日や1月20日に設定されています。
つまり、2025年の鏡開きは、関東やその他の地域で1月11日(土)、関西では1月15日(水)または1月20日(月)に行われます。
松の内が終われば、お正月飾りと同様に鏡餅も片付ける人が多いですが、鏡餅は鏡開きまで飾り続けても問題ありません。片付けるかどうかは個々の判断に委ねられています。
関東と関西で鏡開きの日が異なる理由
関東と関西で鏡開きの日が異なる背景には、歴史的な出来事が影響しています。
もともと関東でも関西と同じように、松の内は1月15日までで鏡開きは1月20日に行われていました。しかし、江戸時代に徳川三代将軍家光が1651年4月20日に亡くなった影響で、関東地方では月命日である20日を避け、鏡開きを1月11日に行うようになりました。
この変更は、松の内がまだ続いているにもかかわらず行われたため、松の内の期間も1月15日から1月7日に短縮されました。この変更は関東地方に限定され、全国的に広まることはありませんでした。
その結果、現在では関東を含む多くの地域で鏡開きは1月11日に行われていますが、関西では1月15日または1月20日が一般的です。また、京都の一部地域では「お正月は三が日まで」という考え方から、1月4日に鏡開きを行う場所もあります。
鏡開きにおけるお酒の伝統について
お正月に飾る鏡餅を割ることで知られる鏡開きとは別に、お酒の鏡開きという風習も存在します。この風習は、清酒を入れた酒樽を割る行事で、もともとは武士が出陣前に士気を高めるために行われたとされていますが、詳しい起源は明確ではありません。
現在では、お正月だけでなく、結婚式や祝賀会などの吉事の場で行われることが多く、「鏡(樽)を開く」ことによって、これからの幸運を願う意味が込められています。
また、現代では大きな鏡餅を置くのが困難であるため、小さな鏡餅や鏡餅の形を模したプラスチック容器に入った小餅が販売されています。このように形は変われど、鏡餅を飾る伝統は今もなお続いています。
鏡開きによって年神様の宿った縁起物である鏡餅を食べることは、お雑煮やお汁粉として楽しむのが一般的です。