この記事では「甘み」と「甘味」の違いや用法と読み方の解説していきます。
日本語において「甘さ」を表現する際、用いる言葉が「甘み」と「甘味」ですが、これらの表記と読み方には細かな違いが存在します。
本記事では、これらの用語の正確な使い分けと、各表現がどのような場面で適しているかを明確に説明しています。
「甘み」と「甘味」の意味と使い方
「甘み」と「甘味」は同じ漢字を用いるが、使い方に微妙な違いがあります。ここで、辞書でそれぞれの用語を調べてみると、次のように説明されています。
【甘み／甘味（あまみ）】
１ 甘い味。甘さの程度。甘さ。「この梨は—がある」
２ 甘い味の食べ物。特に菓子。かんみ。「—に目がない」
【甘味（かんみ）】
１ あまい味。また、あまい食物。あまみ。「—を好む」
２ うまい味。また、おいしい食物。
３ 物事の快い味わい。面白み。
出典：デジタル大辞泉
- ここから分かるように、「甘み」（あまみ）は一般的に食物の甘さや甘い味の程度を指す言葉として使用され、特に食感や味覚に関連する内容に用いられます。一方で「甘味」（かんみ）は、甘い味を示す以外に、文学作品など非食品の文脈で「面白み」や「魅力」という意味でも使われることがあります。
- これらの違いを踏まえると、「甘み」は主に具体的な味の特徴を、「甘味」は比喩的な表現や広義の用法に富んでいることが明らかです。
「甘み」と「甘味」の違いとその用法
「甘み」と「甘味」は、辞書で同じ項目に列挙されることがあり、どちらも甘い味覚を指す言葉として使われます。しかし、これらの言葉には微妙な違いがあります。
まず、「甘み」は、言葉の末尾に付く和語の接尾語「み」が含まれています。この「み」は、元々名詞化する機能を持ち、特定の性質や状態を示します。例えば、「深み」「辛み」などが同様の用法です。
一方、「甘味」の「味」は、漢字を用いることから当て字の性質を持つことがあります。これは特に甘さを具体的に示す場合に用いられることが多いですが、本来の「み」と同じ意味合いで用いられることもあります。
文学作品などでは、「甘味」という表記もしばしば見受けられ、甘いものへの好みや甘さを感じさせる状況を表す際に使用されます。以下はその例です。
- 「私どもには少し甘味が勝っているようで、却って…」（国木田独歩『巡査』）
- 「そこに甘味があるからな。」（倉田百三『出家とその弟子』）
- 「何本目かで私は漸くその甘味を感じ…」（大岡昇平『野火』）
- 「かすかな甘味を交えていた。」（同上）
- 「やや甘味加減に味付けし…」（婦人倶楽部・昭和31年）
このように、甘さの性質や状態を示す際には「甘み」を用い、甘い味や甘さを具体的に表す際には「甘味」を用いることが一般的です。しかし、両表現が同じ文脈で使われることもあるため、用法を正確に把握することが重要です。
「甘み」と「甘味」、どちらを用いるべきか？
「甘み」と「甘味」にはそれぞれ異なる適用シーンが存在します。「甘味」は漢語として「かんみ」と読む場合があり、より広義的な意味で使われることがあります。特に「人工甘味料」のように、科学的な文脈や漢語が由来の語句で使用されることが一般的です。
一方、「甘み」という表記は、和語の感覚で直接的に「甘い味」を指すことが多く、日常的な使用に適しています。例えば、果物の「甘みがある」と表現する際にはこの形が用いられます。
「甘味」の表記は、「舌の感覚」としての甘さだけでなく、物事の内容や興味深さを指す言葉としても使われます。例として、「正味」「趣味」「興味」「吟味」などがありますが、これらは文脈によって「かんみ」と読まれることもあります。
このため、「甘味」と書く場合、その読みが「あまみ」であるか「かんみ」であるかを文脈から判断する必要があり、しばしば誤解を招くことがあります。この複雑さから、単に甘い味を表す際には「甘み」と書くのが無難であるとされています。
結論として、「甘み」は日常的な甘さの表現に、「甘味」は漢語としての多義的な用途や科学的文脈において使われることが望ましいと言えるでしょう。
「甘み」と「甘味」の用法と区別
本記事では、「甘み」と「甘味」の使い分けについて説明しました。
「甘み」と「甘味」は両方とも「甘い味」や「甘さの程度」を指しますが、用途に応じて使い分けが必要です。
「かんみ」という読み方は、「甘味」にのみ適用され、「物事の快い味わい」や「面白み」など、広い意味を持ちます。
「甘み」という表記は、和語の使用であり、語源に忠実です。「甘味」は、漢語であり、多義的な用途に使われることが多い当て字です。
使い分けについては、「甘味」が「あまみ」と「かんみ」の両方の読み方を持つため、どちらの意味で使用しているかが不明瞭になる可能性があります。そのため、意味を明確にするためには「甘み」と表記することが望ましいです。
