「饒舌」とは、多くを話すことや口数が多い状態を指します。
日常生活で頻繁に話す場面においてしばしば引用される表現であり、その正確な用法を理解していない人も少なくないかもしれません。
本稿では、「饒舌」の定義と適切な使用方法について、具体的な例を挙げて明確に説明していきます。
「饒舌」とは?
「饒舌」という語は、無尽蔵に話をすることや、話好きな性質を示します。
「饒舌」と読む「じょうぜつ」は、辞書でも取り上げられるほど一般的に使われる表現です。この言葉は、漢字検定1級で出題されるほどの難易度を持つ「饒」という字と、「舌」を組み合わせて形成されています。ここで、「饒」は豊かさや余裕を、「舌」は話す行為を指します。
具体的な意味としては、以下のように多様な表現で説明されます:
- 無遠慮に多くを話すこと
- 話題に事欠かないこと
- 言葉数が多いこと
これらはすべて、「饒舌」という言葉が持つ意味合いを表しています。
「饒舌」の適切な使用法を例文で学ぶ!
「饒舌」という言葉は、しばしば否定的な文脈でおしゃべりな様子を表す際に用いられます。不適切に使用すると、意図が伝わらずに相手を不快にさせることがありますので、いくつかの例文を通してその正しい使い方を見ていきましょう。
例文①
・女子会ではB子が饒舌になりがちなので、早めに切り上げよう。
例文②
・Aさんは饒舌であり話が多いため、商談では信頼できない。
例文③
・私は自分が饒舌な傾向にあるため、仕事では控えめに行動するよう心掛けている。
例文④
・彼は見た目は静かそうだが、実際にはかなり饒舌だ。
例文⑤
・どんなに饒舌でも、他人の話を聞かない人は未熟だと感じる。
【饒舌の使用時の注意】
「饒舌」という言葉には「過度に話す、騒がしい」といった肯定的な意味は含まれていません。
会話で誰かの話術を称える際に「〇〇さんは饒舌ですね」と述べると、誤解を招く恐れがありますので注意が必要です。
饒舌が褒め言葉ではないことを理解しておくと、ビジネスシーンでも役立つでしょう。
「饒舌」の同義語とその他の表現方法5つ
「饒舌」という言葉には、いくつかの同義語や類似の表現があります。
これらの言葉を学ぶことで、相手の理解度や話の文脈に応じて最適な表現を選ぶことが可能になり、効果的なコミュニケーションが実現します。
・おしゃべり
・多話
・軽口
・話巧
・話多
同義語①おしゃべりの意味
[名](スル)気軽に話すこと。
[名・形動]口が多いこと。話すのが得意なこと。また、その性質や、その人。
例)友人とのビデオチャットでおしゃべりをするのはいつも楽しい時を過ごせます。
同義語②多話の意味
[名・形動]頻繁に話すこと。言葉の多いこと。また、その性質。
例)少しの酒で酔っ払う先輩は、お酒が入るとすぐ多話になります。
同義語③軽口の意味
無思慮に話をすること。秘密を軽く話してしまうこと。また、そのような性質。
例)彼女を信じていたけれど、軽口を叩くので信頼できなくなった。
同義語④話巧の意味
[名・形動]相手を説得したり楽しませたりするのが上手いこと。また、そういう才能を持つ人。
例)イベントの司会は話巧な田中さんが務めれば、きっと成功するでしょう。
同義語⑤話多の意味
[名・形動]言葉が多いこと。また、そういう性質を持つ人やその様子。
例)新入社員の教育には話多な人が適していると思います。
「饒舌」と「冗舌」の使い分け
「饒舌」と「冗舌」は、表面的には類似しているように見える言葉ですが、使い方にはどのような違いが存在するのでしょうか。
両者ともに「やたらに話すこと・おしゃべり」という意味で共通していますが、漢字の使用に違いがあります。「饒」は常用漢字ではなく、公的な文書や報道では「冗」が用いられることが多いです。
「饒」が含まれる「饒舌」はもともと当用漢字に分類されていましたが、当用漢字の廃止とともに常用漢字リストからも除外されました。
その結果、「冗舌」の表記が主流となり、現代の公式な場ではこちらの使用が推奨されています。
それでも「饒舌」は日常会話や様々な文脈で使用され続けており、間違いとは言えません。ただし、公的な文書や正式な書き言葉には「冗舌」を選ぶ方が適切でしょう。
英語で「饒舌」を表す『talkativeness』
「饒舌」は英語で『talkativeness』と表現することができます。
talkativenessの意味:
- 饒舌
- 軽口
『talkativeness』は英語で、
- 饒舌
- 軽口
という意味を持ちます。
「饒舌」とその対義語「寡黙」
「饒舌」の対義語として、「寡黙」があります。
寡黙の意味:[名・形動]少なく話すこと、またはその性質。
「寡黙」には以下のような意味が含まれます。
- 口数が少ない
- 物静か
この言葉は、控えめな話し方が誠実さを象徴する場合に使用されます。
例) 現場監督は寡黙な人なので、工事を安心して任せられます。
一方で「饒舌」は過度に話すことを指し、時として否定的な意味合いを持つことがありますが、「寡黙」はその穏やかさで肯定的な印象を与えることが多いです。
さらに、「饒舌」が「多くを話すこと」を意味するのに対し、「寡黙」は「少なく話すこと」や「物静かな性質」を表すため、これらは明確な対義語として位置付けられます。